012 ロマミュージックについて。
先ず何より、好きになったきっかけの曲を紹介したい。
この、喜怒哀楽が全て詰まったパワフルさに圧倒されたし、ロマが辿ったであろう歴史と感情が、強烈に音に乗っている。
祖国を持たない彼等は、一説には北インドから放浪を続けて、15世紀には東欧からヨーロッパ全土へと散らばったという。
馴染みのある音楽的な事で言えば、スペインのフラメンコがその流れを汲み、ブラームスがロマミュージックに影響を受けて書かれたのが、かのハンガリー舞曲(第5番は誰でも一度は聞いた事があるだろう)だ。
各地を転々としながら、音楽や占い、あるいは盗み等で生計を立てるしかなかった彼らは、あちこちでの出来事を歌い伝えるメディアでもあった為に、治安維持のもとに弾圧を受けた。
自国民にとって不都合な情報を流布されると、絶対王政の統治下では致命傷にもなりうる場合があるからだ。
(北朝鮮の国民に、いわゆる先進国での暮らしぶりを広く知らしめたら金政権への不満が高まるだろうってのと同じ)
時代が進み、その演奏の腕前を買われて軍楽隊として取り立てられ、その経験者が今、強固なジプシーブラスの土台を支えていたりする。
…し、楽器の出来ぬものは真っ先に最前線に放り込まれた事も容易に想像がつく。
体が健康な社会的弱者の扱いなんて、時代や国が変わっても、そんなものだ。fxxk。
だが彼等は、時に虐げられ、人殺しの道具にされ、その戦意高揚に利用され、それでも誇りは少しも失われていない。
彼等の音楽を聴けば、誰だってそれが解るだろう。明らかにたくましいから。
冒頭に紹介したMahala Rai Bandaというバンドは、元ルーマニア軍楽隊の老齢なブラス隊と若手が融合したハイブリッドで、
その若手メンバーのうち三人は、Taraf De Haidouks(直訳で義賊の楽団。心意気!)のバイオリンの故nicolae neacșuの甥なんだとか。
そのタラフは、ブラスはいないが、よりコアで、ロマミュージックを世に知らしめた、ジョニー・デップをもハマらせたレジェンド。
Taraf De Haidouks - Rustem si suite
↑のサムネのAnghel Gheorgheさん、役者やっても上手い。
Le concert - Le gitan (French Movie)
突然のパガニーニにやられるよね、これは。最初のロマ風の演奏と弾き方による音色の違いがよく解ると思う。
そして最後に、ブラスメイン(こちらは元トルコ軍楽隊)のKočani orkestarの名曲を。
これ、なーんか励まされるんだよなぁ。
盛りだくさんの最後に、おまけ。